1.起業の心得とは
会社や官公庁等に勤めている方は世の中にたくさんいます。
収入は安定しているのかもしれませんが、所詮、雇われの身です。
組織の命に背くことは難しいのはもちろんのこと、仕事上、トラブルやミスを起こせば、その地位を失いかねません。
また、現在、職を失い、アルバイトやパート、派遣社員を余儀なくされている方や就職活動がうまくいかなかった方にとっては、毎日が空しく感じることも多いと思います。
心の中では、「いつかは自分の力を発揮できる仕事をしたい」、「独立して一国一城の主になってみたい」という野望は誰にでもあるのではないでしょうか。
起業をめざすことは夢ではなく野望です。
その野望を実現するためには、計画性が必要です。
事業計画書を作成してみると頭の中が整理されます。
自分自身の強みや弱みを把握しておくことや取引先を確保しておくこと、あるいは広報や営業活動をどうするか、資金繰り等、考えておくことはたくさんあります。
しっかりと事業計画書を練ってから開業するならまだしも、現実には、計画性もなく、いきなり事業を始めてしまう人も少なくありません。
そのような形で起業することはギャンブルとなってしまう要素があります。
飲食店の例がわかりやすいのですが、いざ店を構えて起業しても、1年後に生き残る店は、約半分です。
10年後に生き残る店は、たったの1割程度です。
これが、起業の厳しい現実を物語っています。
特に店舗を構える店舗系ビジネスは、顧客に来店してもらわなければならないというハードルが高いので、起業リスクは高いと言えます。
しかし、業種によっては、開業資金をなるべく抑えて、低いコストで集客することで生き残る可能性が高くなるものもあります。
自宅で開業して、経費を最小限に抑えながら、ホームページ等を活用しながら、集客するようなスタイルならば、リスクも少なくなります。
2.起業するメリットとデメリットとは
起業するということは、事業主となることです。
事業主となれば、自分がすべての責任を負うということです。
起業した場合、会社員とは異なり、安定した収入や有給休暇もなければ、待っていても仕事が来るわけではありません。
仕事を獲得するところから、激しい競争にさらされます。
そのため、起業しても軌道に乗るまでは、最低でも3~5年はかかります。
その間、持ちこたえられるだけの生活資金も確保しておくことも必要です。
それでも、事業が軌道に乗ると、会社員以上の収入を得ることも不可能ではありません。
定年もないので、体力が続く限りは、生涯働き続けることもできます。
そして、起業する最大のメリットは、自由であり、自分次第でいくらでも収入を増やすことと事業を拡大させることができる点です。
起業するデメリットは、安定した収入はなく、軌道に乗せるまでが大変なことと、うまくいっていたとしても経営努力を怠ると破綻してしまうことです。
それでも起業家として成功すれば、会社員のときには味わうことができない喜びとやりがいを感じることができるため、会社員に戻りたいとは決して思いません。
自営業と会社員の違い
社会保険 | 年金 | 国民年金 | 厚生年金(国民年金と厚生年金の2階建て) |
健康保険 | 国民健康保険(高額療養費制度あり) | 全国健康保険協会または組合管掌健康保険(傷病手当金、出産手当金の他に高額療養費に加えて付加給付もある) | |
雇用保険 | なし | あり(失業等給付・育児休業給付・介護休業給付等) | |
労災保険 | なし | あり(業務上や通勤上の事故や疾病等に給付) | |
税制制度 | 税制面 | 経費を計上することができる(青色申告特別控除として最大65万円の控除可) | 給与所得控除を受けることができる (所得に応じて55~210万円) |
退職金 | なし | 退職金制度があれば支給される | |
福利厚生 | なし | 健康診断や保養所等があれば、利用可 | |
働き方 | 収入面 | 毎月の収入は不安定だが、努力次第でいくらでも増やすことは可能 | 毎月安定した収入が得られる |
定年 | なし(健康であれば生涯働くことも可) | あり(定年後、継続雇用制度もあり) | |
休暇 | 自由に休みが取れる | 有給休暇がある | |
自由度 | 自分で自由に決めることができる | 勤務時間中は拘束され、残業もあるので、自由ではない |
3.業種の選定とは
起業すると決心したのなら、まずやらなければならないことは、どの業種や分野で起業するのかを決めることです。
すでに、どの業種で起業するのか決まっている方もいれば、起業することは決めたけど、まだ業種が絞り込めていないという方もいます。
起業するうえで業種を絞り込むために重要なポイントとしては、
1)自分のやりたいこと(夢や想いの実現)
起業によりどのような夢や想いを実現するのか!という起業理念を持つことにより、売り上げが上がらないときにも忍耐強く前に向かって進めることができます。
2)自分の得意なこと(これなら人には負けない)
自分自身の経験やノウハウ、スキル、資格、人脈等をすべて拾い出してみることにより、自分の強みを発見することができるため、起業が成功しやすくなります。
3)社会のニーズ(需要)があること(時代の流れを見極める)
どの業種であっても世の中のニーズ(需要)がなければ、事業としては成立しません。ニーズに合う商品やサービスを提供することにより、顧客を獲得することができます。
上記により、業種を絞り込むことができたなら、次に考えることは、他社との差別化です。
競合する他社との違いや有利性を起業アイデアとして落とし込むことです。
具体的には、既存の商品やサービスにない独自性があるものを提供できる、困りごとを解決できる、社会で問題となっていることを解決できる等を盛り込むことです。
そのうえで、ターゲット層やエリアを限定していきます。
選択と集中により圧倒的な商品の品揃えや魅力的なサービスの提供が決まります。
それを踏まえて、デザインやブランド構築、価格設定を決めていきます。
4.起業の形態とは
起業するにあたって決めなければならないことは、個人事業として事業を開始するのか、それとも法人を設立してから事業を開始するのかということです。
個人事業と法人(会社)を選択する基準
個人事業は、ひとりですぐにでも開始できる点がメリットです。自分一人だけで起業したり、特に取引先などが決まっていない事業であれば、個人事業からスタートするのもよろしいかと思います。
例えば、士業、ネットビジネス、古物商、店舗系等では個人事業の方が多いです。
会社を設立してから起業する場合は、時間と費用がかかります。それでも対外的な取引が多く、信用を求められる事業の場合は、法人を設立してから事業をスタートさせるのが賢明です。
例えば、建設業、宅地建物取引業、産業廃棄物処分業、貨物運送業、旅行業、人材派遣業等は法人が圧倒的に多いです。
※神奈川県株式会社設立サポートサービス参照
※神奈川県合同会社設立サポートサービス参照
個人事業と法人ではそれぞれにメリットとデメリットがありますので、比較検討してみてから事業を開始してください。
個人事業と法人の違い
個人事業 | 法人(会社) | |
事業開始 | 税務署への開業届等のみで容易 | 定款作成と登記申請が必要 |
設立費用 | 不要 | 定款認証代や登録免許税がかかる |
事業内容 | 自由に決められる | 定款に定める事業目的の範囲内 |
対外的な信用 | 低い(取引では不利) | 高い(取引では有利) |
債務責任 | 無限 | 有限 |
融資 | 受けにくい | 受けやすい |
会計記帳 | 単式簿記(複式簿記も可) | 複式簿記 |
確定申告 | 自分で確定申告を行うケースが多い | 税理士に依頼するケースが多い |
課税 | 所得税 | 法人税 |
健康保険・ 厚生年金保険 | 事業主は加入できないので、国民健康保険と国民年金となる | 事業主でも加入できる |
5.起業における集客方法とは
起業において最も重要なことは集客です。
集客ができていれば、安定した経営を維持できますが、集客ができていないと経営が安定せず、最終的には廃業となりえます。
今の時代なら、ホームページ等のITを活用することで、コストを抑えつつ自分の事業を広報宣伝することができ、集客することも容易となります。
その意味では、身の丈に合った方法で集客することにより、事業を続けていくこともできるわけです。
私自身も起業して20年以上となります。
ホームページからの集客が大半です。
営業活動は苦手でも広報宣伝力を高めることで集客につながり、事業を継続することはできます。
自分自身の経験をもとに、これから起業を目指す若い方や会社を辞めて独立する中年世代の方、あるいは、退職後、シニア起業を目指す方のよきアドバイザーになるために、起業相談を行っています。
起業して成功することは、決して難しいことではありません。
起業において最も難しいことは継続することです。
継続は力なりといいますが、日々の積み重ねが大切です。
起業することは、敷かれたレールの上を走ることではなく、道のないところを自分で切り開くことであります。
知恵と工夫さえあれば誰にでも道を拓くことは可能です。
そのためには自分自身で修行することは大切です。
常に研鑽しておくこと、世の中のニーズを見ていくことが必要です。
マーケティングを学んでおくことも起業には役立ちます。
起業してみたいという方はぜひ、当事務所へご相談ください。