元お笑い芸人の末路とは

元お笑い芸人の末路とは

■スキルを身に付けることも芸の一つで身を助けてくれます!

大学の同級生でやたらと話し上手な者がいました。

周囲からは、お笑い芸人になった方がいいとよく言われていました。

本人もその気はあったようですが、大学では、金融のゼミに所属していました。

卒業後は、金融ではなく、一般企業に就職したものの、やはり、夢を諦めきらなかったようで、会社を退職して、お笑い芸人になるべく養成所へ通い出しました。

しかしながら、夢は叶わないもので、お笑い芸人になることはできず、また一般企業に再就職しました。

その後は、転職を繰り返しています。

そんな同級生とバッタリと会う機会がありました。

当職も老人ホームから、施設のイベントでお笑い芸人を呼ぼうとしているという話がありましたので、その同級生に声をかけてみました。

その場で承諾してもらいました。

芸名もなかったので、当方が付けることにしました。

その同級生は、結婚したものの子ができないということをよく言っていたのと、当時は「ふなっしー」がもてはやされていたので、「コナッシー」と名付けました。

イベント当日、コナッシーが芸を披露しました。

ところが、まったくウケませんでした。

それはなぜでしょうか。

1つは、家族ネタを披露したことです。

身内の話をしても、事情が分かるのは当人とその親族だけでウケるわけがありません。

もう1つは下ネタを連発したことです。

これは、芸人としてはタブーです。

ですから、コナッシーの芸を聞いても、低俗でくだらなすぎで誰も笑うことがありませんでした。

学生時代は、あれほど面白かった者でも、人並み以上の努力や研鑽が足りないと大成しないということです。

ちなみに人を笑わせるということは、人を楽しませることです。

人に笑われるということは、バカにされているということです。

同じ笑いでも、天と地ほどの差があるのです。

そういう意味では、お笑い芸人になるというのも、簡単な話ではありません。

そのことがきちんと理解できていないのが、お笑い芸人になれなかった要因です。

お笑い芸人になれなかったとしても、または、お笑い芸人になっても芽が出なかった人であったとしても、その後の人生で活躍することは可能です。

元お笑い芸人が一般企業で就職した場合、その特性が活かせるのは、営業職です。

営業は、人と話すことが仕事ですから、コミュニケーション能力が高いので、笑いを取りながら、自社の商品販売やサービス提供に貢献できます。

営業だけでは物足りないと思うならば、資格を取得するとよいでしょう。

元お笑い芸人で中小企業診断士の資格を取得した人がいます。

その方は、経営相談や投資相談を受けていて、お笑い芸人の時よりも稼いでいます。

ファイナンシャルプランナーの資格を取得した人もいます。

セミナーの講師として、笑いをとりながら、マネーの話をしていて、大変好評のようです。

元お笑い芸人の肩書に、スキルが身に付くことで、誰にもまねができない強烈な個性を放っています。

逆のパターンで行政書士や公認会計士で落語家になった人もいます。

落語を通じて、相続の話をしているのです。

このように見ると、お笑い芸人としてうまくいかなくても、その経験を活かすことができるということなのです。

残念ながら、コナッシーはそのようなスキルを身に付ける努力もしなかったので、転職を繰り返した挙句、アルコール依存症となってしまい、今や無職となってしまいました。

もはや人を笑わすことはできず、人から笑われるような、愚かな人生となってしまいました。

昔から「芸は身を助ける」と言いますが、お笑いという芸に本気で精進した者こそが、その後の人生を輝かせる、あるいは生き残るための策があるというのが事実です。