人を馬鹿にする経営者とは

人を馬鹿にする経営者とは

■人を馬鹿にしていると自分自身がバカを見ることになりますよ!

先日、知り合いからの紹介で、お店を営業している方の経営相談に乗ってほしいと頼まれました。

老舗の洋品店で、昔は流行っていたようですが、今はコロナ渦でもあり、閑古鳥が鳴いているようです。

経営状況は良くないだろうなと思い、そのお店に入ってみると、80代くらいの女性が出てきました。

小柄な方で、顔はしわだらけで、髪は茶色に染めていました。

挨拶して、名刺を出すと、「行政書士なの。司法書士じゃないんだ。」といきなり言われました。

こちらも、経営相談でしたら、「司法書士でなくても大丈夫です。」と切り返しました。

しかし、今度は、「あなたどこの大学出ているの?うちの息子は○○大学出ているのよ」と自慢話を長々としていました。

当方も「事業を行う上で、学歴は関係ないですよ。

資格があるので、こうやってお目にかかることができているんですよ」と答えましたが、気に入らない表情でした。

そこへ、その自慢の息子がお茶出しにやってきました。

こちらはあいさつしましたが、息子は、挨拶もせず、無表情のまま、お茶だけ置いて去りました。

でもその顔を見てびっくり。

顔面真っ白で、陽の光を浴びていないのかと思いました。

また目付きが、おかしいので、これは精神疾患だと思いました。

さりげなく、その経営者に聞いてみると、

「悪かったわね、うちの息子はうつ病なのよ。

だから、ずっと家で何もしていないのよ。

昔は頭は良かったのに、こんなになっちゃたわよ」と嘆いていました。

ちなみに息子の出したお茶は、毒でも入っていそうでしたので、一切口にしませんでした。

そして、経営相談の本題は、何とこの息子に店を継がせたいということでした。

息子の様子を聞きながら、助言しました。

「お宅の息子さんでは、お店を継がせても、絶対にうまくいくことはありません。

挨拶一つできないような者が経営者としてやっていくことはできません。

まして、うつ病であれば、忍耐力もありませんから、うまくいかないと投げ出すだけです。

ですから、ここらで潮時と判断して、廃業されたらどうですか」

きびしい助言を行いました。

この経営者のように、人を馬鹿にした態度を取り続けるような者が事業を行っていても、当然うまくいくわけがありません。

後継者の息子も、その様子を聞くと店や事業に愛着があるわけでもなく、仕方なく手伝っているという態度が見えました。

ですから、遅かれ早かれ廃業するしかありません。

立て直すと言っても、事業そのものが斜陽産業であり、駅前やロードサイドで、ライバル店は大量販売しているのですから、勝ち目はありません。

店舗系の場合、来客してもらうというのは、大きなハードルです。

このお店の立地もいいとは言えませんし、衣料品関係はネットでの販売は難しいです。

そのように助言しましたが、この経営者は黙り込んでしまいました。

しばらくしてから、

「こんなお店で悪かったわね。

どうせもうすぐ潰れるわよ。

それでも私は、生涯やっていくのよ。

文句あるの。」と聞く耳持たずでした。

そこで私からは、

「あなたは人を馬鹿にしたような態度を取り続けていますが、それでも経営者なのですか?

商売ですから、人から信用を得られなければ、廃業するしかありませんよ。

信用というものは、薄い紙を1枚1枚積み重ねていくものです。

その努力を怠っていませんか?だから、こんな状況なんですよ。」

ダメ出しをしておきました。

この経営者は、下を向いたまま、何も言えなくなりました。

このような経緯を紹介者に報告しました。

そうすると、

「やっぱり駄目よね。

あの人、けちで有名なのよ。

自分の店の商品を買わない人とは、口も利かない人だから。

そのくせ、ターゲットを決めると売り込みをかけてくるのよ。

だから皆に嫌われているのよ。

それなのに本人は気が付かないだから、どうしようもないわね。」

紹介者もこの経営者のことをよくご存じなわけで、こちらも有難迷惑でした。

なお、この経営者の正体は、自分の家族と商売とプライドだけが大事で、そのためなら人を欺くことさえ厭わない愚か者でした。

経営者たるもの、うまくいってないときこそ、もっと意識を高く持ち、自己研鑽に励むべきであると痛感しました。