■大学がエンディングノートを刊行する意義とは!
エンディングノートは今から約20年程前に現れてから、現在に至るまで、世間に認知されるようになりました。
静かなブームを巻き起こし、エンディングノートが玉石混交に出版されました。
そして、今でも書店には、エンディングノートが置かれています。
エンディングノートを出版するのは、主に以下の3つが主流でした。
1.行政書士や税理士、弁護士等の士業やファイナンシャルプランナー(FP)
2.葬儀社
3.出版社独自
そして、時代の流れでしょうか、その3つ以外の新たな業種から、エンディングノートを出版するところが出てきました。
それは、どこかというと大学です。
大学がエンディングノートを作成する意義は、卒業生向けに終活への啓蒙活動と共に母校への寄付の提供をしてもらうためです。
実は、今回ご紹介するエンディングノートは、当方の母校が作成したオリジナルのものです。(青山学院オリジナルエンディングノート)
ですから、一般の方は購入することはできません。
卒業生向けの案内に記載されていたので、申込しましたところ、応募者が殺到したようです。
それで、追加で増刷され、送られてきました。
大学が刊行するエンディングノートは、大学のアルバムにエンディングノートを組み合わせた内容になっています。
この大学が作成したエンディングノートを独自に分析してみました。
一般的にエンディングノートは、次の4つの内容から構成されています。
1.今までの人生についての振り返り(自分史)
現況や思い出、家系図、自分史年表など。
大学のエンディングノートは、一般的なものと内容は変わりません。
未来設計図が掲載されている点が面白いので評価されます。
2.介護や終末医療についての希望(いざというとき)
介護や成年後見制度、遺言、献体と臓器提供と尊厳死、生前贈与など。
大学のエンディングノートは、入院したときや重病になったとき、認知症になっとときの記入項目はあります。
遺言の項目もありますが、簡潔な解説です。
大学らしいのは、寄付の項目がやたら強調されています。
そうなると寄附金集めのためにエンディングノートを作成したという意図が見えてきます。
それ以外の成年後見制度、生前贈与等の記載はまったくありませんでしたので、ここは手薄です。
3.財産の整理と形見分け(財産整理)
不動産、預貯金、有価証券、自動車、保険、年金、遺品整理など。
大学のエンディングノートは、財産に関する記載項目はありますが、最低限の記入項目しかありません。
遺言作成時にこれだけでは物足りませんので、やはりここも手薄です。
4.葬儀やお墓についての希望(自分らしい葬儀)
葬儀、お墓、法要、仏壇など。
大学のエンディングノートには、「喪主になってほしい人」「葬儀社」「葬儀の希望」「埋葬・お墓」に関する最低限の記入項目しかありません。
これでは、自分でどのような葬儀にしたいのか考えることはできません。
ここも手薄です。
全体としてみると、内容は最低限の記入項目しかないという印象でした。
もう少し深堀しないと、終活への実践へと繋がりません。
もし、卒業生でもある当方にお声がけいただいていたなら、もっと改善していました。
本音を言えば監修をさせてもらいたかったです。
そして最後のページには「遺産・相続に関しては専門家に相談すると安心です」と記載されていました。
その専門家に行政書士や司法書士、税理士、弁護士が記載されていたのは、評価します。
ただし、某信託銀行の電話番号が掲載されていたのは、疑問です。
それでも大学がエンディングノートを作成する時代が来るとは想像できませんでしたので、とても嬉しく思います。
他大学でもこのようなエンディングノートの作成を行う動きが出てくると思います。
エンディングノートを手に入れた卒業生の方は、まずは自分でよく考えてから、ノートに記入してください。
記入後は、終活へ繋げるべく実践あるのみです。
エンディングノートに記入した内容を実行するためには、専門家に相談しながら、進めるのがよろしいです。
その受け皿となるのは、専門家や終活団体です。
エンディングノート記入後、終活に取り組みたい方のために、当方も窓口となっております。
また、もう少し詳細なエンディングノートが欲しいという方のために当職が代表を務める終活団体のエンディングノートも提供しております。
ぜひご相談ください。