相続人

相続人探しとは

■相続人が見つからないと相続手続は大変なことになります!

相続手続で依頼を受ける案件の中には、相続人の所在が不明であることもあります。

相続手続が発生した場合、遺産分割協議書には相続人全員の合意の上で、署名捺印することが義務付けられている関係上、所在が不明の場合、状況を聞き取ったうえで、対応します。

相続人探しは、以下の3つのパターンで考えられます。

1.現住所がわからないケース

以前は付き合いがあったものの、しばらく音信不通となったため、連絡先がわからなくなってしまった場合。

このケースでは、まず、現住所を探し出すことにポイントを置きます。

もちろん、自分で探すということは難しいので、ここは行政書士等の専門家に依頼するのがよろしいと思います。

間違っても興信所(探偵)に依頼する必要はありません。

料金が割高となりますので、お気を付け下さい。

現住所がわかれば、その後、郵送または直接会いに行く等で連絡することも可能となります。

2.相続人だが、一度も会ったことがないケース

相続手続では、兄弟姉妹が相続人であるときは、名前も顔も知らない相続人が出てくることもあり得ます。

例えば、兄弟姉妹がすでに他界しており、その子である甥や姪が代襲相続人になるとき等。

まったく知らない人物が相続人なのですから、住所も知るはずがありません。

そのようなときも同様に行政書士等の専門家に依頼するのがよろしいです。

3.失踪しているケース

相続人の中には、行方不明となっていて、連絡を取りようがないこともあり得ます。

失踪している場合、次の2つのいずれかの申立を行います。

1)家出などにより音信不通で生死不明が7年以上の普通失踪や海や山で遭難して遺体が出てこない状態が1年以上続いた特別失踪の状態のときは、家庭裁判所へ失踪の宣告を申立します。

失踪宣告確定後、10日以内に失踪届を提出すれば、失踪者は死亡したものとみなされます。

2)生死不明が7年未満の失踪の場合や生きているのは確認できるが所在がわからない場合は、生きているものとみなされます。

その場合は、家庭裁判所へ不在者財産管理人選任の申立をします。

不在者財産管理人は代理人として遺産分割協議に参加するためには権限外行為許可の申立をします。

相続人を探し出すということは、いずれのケースでも手間がかかるということは間違いありません。

当方も郵送で相続手続の案内を送っても返事をもらえない相続人の方に会いに行ったことが何度もあります。

会いに行けば、例え相続人に直接会うことが出来なくても同居の方から連絡先を確認することができたことが何回もあります。

相続人探しは相続手続の中でも骨の折れる作業であるということをご理解していただけると思います。

相続人調査代行サービス参照

相続手続に協力しない相続人とは

■相続手続は、相続人全員の協力が必要ですから、一人でも協力しないと大変なことになります!

相続手続において、厄介となるのは、相続人が相続に協力してくれないケースです。

具体的には、相続人調査で確認し、相続人全員が遺産分割に合意できて、はじめて遺産分割協議書に署名捺印していただく段取りです。

しかし、その非協力的な相続人がいると、遺産分割の話し合いさえできない状態となり、相続手続が進めることができず、ストップしたままとなってしまいます。

なぜ協力しようとしないのでしょうか?

人それぞれ事情があるわけです。

私見で分析する限り、その理由は以下のとおりです。

1.遺産分割の提案に納得できない

経済的な事情もあり、少しでも多く財産を獲ろうと企む方もいます。

簡単に納得してもらえませんが、話がまとまれば、一気に進展することもあります。

相続人の配偶者が出てくると、なおさら厄介となります。

2.相続人同士が不仲

元々仲が悪いうえに、遺産分割協議をやろうとしてもまとまらないのも事実です。

当事者間での話し合いが難しいですが、いかに妥協点を見つけるか、折り合えるかが鍵ですね。

3.相続人自身の事情

経済的な問題や家庭内の問題、病気あるいはその他の他人には言えない事情を抱えている等、他の相続人とは、関わりたくないケース。

そういう方には、秘密厳守することを前提に進めることもあり得ます。

このように、遺産分割協議が難しいケースもありますが、それでも手続まで進めることができたケースもあります。

難しいケースですが、相続の専門家に相談してみると、案外うまくいくこともあります。

ただし、それでもどうしても難しい場合は、裁判で決着を図るしかありません。

そのケースでは、遺産分割協議に協力しない相続人以外の相続人全員が、その協議に参加しない相続人を相手方として、家庭裁判所に調停の申し立てをします。

申し立てる家庭裁判所は相手方の住所地を管轄する家庭裁判所になります。

調停委員会は、申立人、相手方の両方から順次、遺産の範囲、遺産分割の方法、特別受益の有無といった点について主張を聞き、双方に譲歩を求め、できる限り、話し合いによる合意を目指します。

合意に至らないとき、あるいは相手方が調停の呼び出しに応じない場合は、調停は不成立となり、審判手続に移行します。

審判手続では、遺産分割調停とは異なり、当事者の合意ではなく、裁判官により、遺産の内容や相続人の年齢、職業、生活状況などのすべての事情を考慮した上で、強制的に遺産分割内容を決定します。

また、この他に「遺産に関する紛争調整調停」という申立もあります。

この調停は、相続人の間で相続財産の有無や範囲、権利関係等に争いがある場合に、当事者間での話合いがまとまらないときや話合いができないときには、家庭裁判所の調停手続を利用することができます。

相続人の一人だけがどうしても話し合いができないときには、この調停を申し立てるのことも選択肢となります。

ただし、紛争の内容が相続人全員に及ぶ場合や相続人全員を手続に参加させる必要があるときは、遺産分割事件
として申立てをすることが必要な場合があります。

遺産分割協議とは参照

相続人ではない人への対処法

■相続人でない人が相続に口を挟んできたら気をつけましょう!

相続手続で一番重要なのが、遺産分割協議です。

遺産分割協議は、相続人同士で協議すべきものです。

ところが、本来相続人でない方(例えば、相続人の奥さんなど)が遺産分割に口を挟むケースもあります。

相続人同士では、まとまっていた話が、相続人でない方が出てきて、あれやこれや言い出して、まとまらなくなってしまうこともあります。

また、そういう方に限って相続人以上に権利を主張してきます。

相続人でない方が出てきた場合は、原則、相続人だけで遺産分割協議を行うことを忠告します。

また、相続人でない方には、これ以上口をはさまないように注意します。

こういう方が現れると本当に困ってしまいます。

相続人同士の修復不可能な関係とは

■遺産争族勃発!

相続手続における遺産分割協議においては、相続人同士が争いとなることもよくあります。

一旦、争いが起きるともはや修復不能となり、親戚付き合いも難しくなり、その後の関係が疎遠となることも決して珍しいことではありません。

様々なケースがありますが、事例から分析すると、

□元々不仲なケース(不仲な親子や兄弟姉妹)

□それまでは仲が良かったが、遺産分割をきっかけに不仲となったケース(欲や意地の張り合い)

遺産分割協議がまとまらない場合は、家庭裁判所へ調停となり、それでもまとまらない場合は、審判となります。

裁判まで行けば、確実に修復不能です。

財産が多いか少ないの問題ではありません。

少なくても争いは起こります。

そのようにならないためにも、ぜひとも遺言を遺していただきたいものです。