■身寄りのない単身者こそ相談相手を持つべきです!
超単身社会と言われて久しいです。
周りを見渡しても、ひとり暮らしの方が増えているのを実感します。
ひとり暮らしになる要因は、生涯独身、配偶者との離婚や死別、子の独立や離別、死別、親との死別や無縁化等です。
単身者が増えるにあたり、相続においても変化があります。
身寄りのない単身者が増えているので、その方の亡くなった後の手続が大変となっています。
特に遺留金の問題が話題となっています。
遺留金とは、身寄りのない単身者が亡くなったときに残っている預貯金のことです。
遺留金は2023年現在、全国で21億円あります。
この遺留金の処分で問題が発生しています。
生前に相続対策や終活を行わない方がいまだに多いので、身寄りのない方が孤独死してしまうケースが多いです。
単身者がお亡くなりになった後、相続人や相続財産が不明であるため、自治体が関与することになります。
自治体は遺留金を預かる立場となります。
身寄りのない単身者が亡くなった後、火葬を行いますが、その葬儀費用は自治体が立て替えます。
相続人調査の結果、相続人が見つからなかったり、相続人が見つかっても遺体の引き取りを拒まれたりするケースが少なくないのです。
亡くなった人の引き取り手がないときは、墓地埋葬法などの法律で自治体が火葬すると決められていて、費用も自治体の負担となります。
亡くなった方の預貯金があれば、その預貯金から葬儀費用を充当します。
問題はその後です。
相続手続を行うためには、相続人調査を行わなければなりません。
自治体が相続人調査を行うための戸籍謄本の収集から相続人を探し出すこと、そして相続人への連絡等の手間暇や費用をかけることが難しいのが現状です。
本来ならば、行政書士や司法書士等の専門家に依頼すれば、事足りるのですが、自治体が関与しているため、予算もないので、外部の専門家に発注するということができません。
そのため、相続人調査がスムーズに進まないので、時間ばかりが経過して先に進まないのが現状です。
さらに本当のことを言えば、遺留金は自治体で保管せず、法務局で保管するのが正しい方法です。
法務局で遺留金を保管してもらえば、自治体の負担軽減につながります。
しかしながら、自治体側の理解不足もあり、法務局で保管するという選択肢を取らず、自ら保管しているケースが大半です。
自治体で遺留金を保管すると盗難や紛失等が発生するリスクもあります。
総務省が各自治体に指示を出して法務局へ保管するように促しているので、今後は、リスクヘッジにつながると思います。
ちなみに遺留金は最終的には国庫に入る仕組みとなっています。
なお、遺留金の問題を根本的に解決するためには、身寄りのない単身者の意識変革が必要不可欠です。
身寄りのない単身者は生前に相続対策として、遺言を遺しておくことが大切です。
遺言を遺しておくことで、相続人ではない者に預貯金を遺すこともできます。
あるいは、財団法人や社会福祉施設等に寄付することもできます。
遺言作成時に遺言執行者を選任しておくことにより、遺言執行者は単身者が亡くなった後、遺言どおりに手続を行いますので、遺留金の問題は発生いたしません。
また、生前贈与の活用も併用するとよろしいでしょう。
単身者にとって大切なことは、亡くなった後のことと亡くなるまでのことを相談できる相手を持つことです。
市区町村役場で相談するのもいいのですが、相談だけで終わってしまいます。
そこで具体的な対策を実行するためには、相続の専門家や終活を支援する団体に相談するのがベストな選択です。
当相談所も身寄りのない単身者からご相談を受けております。
単身者のための相続対策や終活に関して気軽に相談できる専門家やパートナーがいるととても安心です。
遺留金の問題は行政任せではなく、単身者一人ひとりの心掛けがあれば、解決できる問題です。