葬祭扶助で行う葬儀とは

葬祭扶助で行う葬儀とは

■身寄りも遺産もない方のための葬儀支援策とは!

アフターコロナと言われて久しいですが、景気の回復の見込みが立ちません。

コロナ以前より生活が苦しい方は、なおさら苦しくなっています。

その結果、生活保護受給者は増加の一途をたどっています。

生活保護の受給により、最低限の生活は維持できていますが、生活保護受給者も年齢を重ねるにつれて、終活を意識することになります。

生活保護受給者の終活の場合は、財産的なことよりも、葬儀やお墓のことを心配するケースが多いです。

本来、自分が亡くなった後、葬儀費用をどうするのか、自分自身で考えておくべきなのです。

しかしながら、財産がない以上、自分では対策が立てることができません。

その場合は、親族に支援をお願いするわけですが、親族も困窮者で同様に生活保護受給者であったり、疎遠となっている場合は、親族も頼りになりません。

その場合は、葬祭扶助の制度を利用することをおすすめします。

葬祭扶助とは、生活困窮者支援のため、葬儀費用を自治体が負担する制度です。

生活保護法18条の条文が根拠となっています。

税金で葬儀を行う訳ですから、公助でありますが、昔からの伝統的な相互扶助の精神もあるかと思います。

費用面は、当然の如く必要最低限な葬儀となります。

具体的には、直葬で、火葬のみの簡易な葬儀となります。

葬祭扶助で賄える費用は、棺、棺用布団、仏衣、枕飾り、枕花(お別れ用の花束)、ドライアイス、寝台車・霊柩車使用料、安置施設使用料、火葬費用、骨壷・骨箱、自宅飾り、白木位牌となります。

葬祭扶助という制度は、亡くなってから申請することはできません。

従って、生前に申請を行う必要があります。

条件としては、

1.親族も生活保護受給者であるため、葬祭費用の負担ができない

2.扶養義務者がおらず、遺産から葬祭費用の負担ができない

この2つのうち、いずれかが該当することが申請要件です。

やはり、1よりも2のケースが多いです。

これは、単身者で貧困生活となり、なおかつ、身寄りがない方が多いためです。

親族が葬祭費用の負担ができるのであれば、故人が生活保護受給者であっても、葬祭扶助の申請はできません。

この葬祭扶助の制度を知らない方もいますので、事前に終活の専門家や福祉の専門家に相談を受ければ、適切なアドバイスや対応をしてくれます。

葬祭扶助の申請方法についての概要は、

1.申請場所は、市区町村役場または福祉事務所です。

申請場所は葬儀対象者ではなく、その遺族が居住する市区町村役場となります。

2.申請は、喪主となる遺族が行います。

遺族がいなければ、民生委員あるいは葬儀社でも代行してくれます。

3.葬儀社の選定

事前に葬儀社を選んでおきます。

葬儀社でも生活保護葬を受け付けないところもありますので、実施可能か事前に確認しておく必要があります。

なお、葬儀の際に香典を受け取ることは可能です。

戒名に関しては、遺族が負担することになります。

生活保護受給者も、人任せではなく、自分自身のことですから、いかに遺される方への負担を軽減できるか考えてください。

葬儀に限らず、終活や生活のことでわからないことは、終活や福祉の専門家に相談してください。

生活保護受給者の終活は、終活と福祉の専門家と行政によるタッグがあると、救われる方も増えていきます。