1.危篤と死亡の連絡
医師から危篤を宣告されたら、速やかに連絡を行います。
連絡するのは、親族、特に親しい友人や知人、勤務先や学校などの関係で付き合いの深い方です。危篤の連絡は電話にて行います。電話で連絡が取れない場合は、留守電に入れておくのもよいでしょう。あるいは、メール・FAX・電報でも構いません。
できるだけ簡潔に、要点をしっかり伝えましょう。要点としては、「危篤者の居場所(病院の場合は、住所・電話番号・交通機関・病室番号等)」、「今の病状」、「危篤者との対面を希望する旨」です。
死亡が確認されたら、速やかに死亡の連絡を行います。連絡するのは、親族、親しい友人や知人、勤務先や学校などの関係団体、町内会です。親族を除いては、通夜や葬儀の日程が決まってから連絡したほうがよろしいかと思います。
死亡の連絡は電話にて行います。できるだけ事務的に、要点をしっかり伝えましょう。「故人の姓名」、「死亡時刻」、「死亡した場所」、「通夜・告別式の日時・場所」、「知らせている本人の名前」を正確に伝えましょう。
電話で連絡が取れない場合は、留守電に入れておくのもよいでしょう。あるいは、メール・FAX・電報でも構いません。
2.死亡に際して
現在では、病院で亡くなるケースがほとんどです。病院で死亡した時は、看護師が遺体処置をした後、霊安室へ移されます。遺族は搬送車を手配して、できるだけ早く自宅へ引き取るようにしましょう。
3.末期の水
医者から臨終を告げられた時、親しい者が本人の口に含ませる最後の水を末期(まつご)の水と言います。この世を旅立とうとする人へのはなむけの儀式です。
死者が蘇るように、そしてあの世で渇きに苦しまないようにという願いをこめた風習です。
末期の水は、配偶者をはじめとして、親族(血縁の濃い順)にその場にいる者全員が取ります。(幼児・子供は除く)
4.湯灌
末期の水を取ったら、次に湯灌(ゆかん)をします。湯灌とは、ぬるめのお湯で遺体を洗い清めることです。
しかし、現在ではアルコールを浸した脱脂綿かガーゼで拭くだけになっています。湯灌の道具は病院や葬儀社が用意してくれます。
最近では、自宅や斎場で納棺前に、湯灌を行ってくれる葬儀社や出張湯灌サービスを行う専門業者もあります。
5.死化粧・死装束
死化粧(しにげしょう)とは、弔問客に対して、故人の最後を美しくしようという遺族の心遣いです。男性ならひげをそり、女性なら白粉や口紅などで薄化粧をしてあげます。頬がこけている場合は、含み綿をします。
死化粧をした後、遺体を安置する前に死装束(しにしょうぞく)を着せます。(仏式)
通常は白い経帷子(きょうかたびら)を着せますが、現在は簡略化され、故人が生前好んだ着物や新しい浴衣を左前に着せて、納棺の時に略式の経帷子を遺体にかけるだけのところが多くなっています。
また、最近では、ドレスや着物などを着て、自分らしい衣装にする方もいます。
6.遺体の安置
一般的に遺体はすぐには納棺せず、しばらくは斎場または自宅に着くと、通夜を行う部屋の座敷などに安置します。
遺体は頭を北に向けます。(北枕)部屋の都合で北枕にできないときは、極楽浄土の方向の西枕にするか、仏壇に頭を向けて安置します。
遺体を安置する際には、顔に白い布をかけ、数珠を両手首に持たせて胸のあたりで合掌させます。
布団は、上下を逆にかけます。上に魔よけの守り刀をおくこともあります。
7.枕飾り
遺体の安置後、枕もとに枕飾りをします。白木の台に白い布をかけて、香炉、燭台、花立ての三具足を備えます。香炉には線香を1本、燭台にはろうそく、花立てには、樒(しきみ)を1枝備えます。他には、水、鈴、枕飯、枕だんごが必要です。
道具は葬儀社が用意してくれます。
枕飾りが整ったら、僧侶を迎え、枕飾りの前で枕経をあげてもらいます。(枕づとめ)
8.納棺
枕づとめが終わると、遺体を棺に納めます。納棺の際は遺体が硬直しているので、身内の者で持って棺に納めます。しかし、今は葬儀社の職員とともに行うケースが多いです。
遺体が納まったら、周りに生花を飾ります。そして、棺の中には死装束や故人の生前の愛用品などを入れます。ただし、眼鏡などのガラス製のものは入れることができません。
江戸時代までは土葬が多かったので、座棺を使用していました。現代は火葬の時代となり、寝棺を用いるようになりました。
■天然木棺
モミやヒノキなどの天然木で作られたものです。高級品です。
■フラッシュ棺
2枚の薄い板を張り合わせたものです。
■布張り棺
フラッシュ棺の上に布を張ったものです。色が鮮やかです。ビロードを使ったビロード棺もあります。こちらも高級品です。
※映画「おくりびと」で、主人公が演じた遺体を棺に納める納棺師が話題となりました。