行政書士FP武井事務所

偽装離婚する人とは

偽装離婚する人とは

■偽装離婚は税金の不正受給であり、卑劣な行為です。

先日、知人に相談を受けました。

その知人の知り合いの子持ちの40代の女性がどうも偽装離婚している疑いがあるので、調べてもらえないかという内容でした。

偽装離婚とは、法律上は、離婚届を提出して、離婚しているけれど、実態としては、夫婦関係が継続していることです。

離婚することによって、手当をもらったり、制度の優遇を図る等が目的です。

この女性は、生命保険の営業職員です。

中学生の子がいて、歩合給で、収入も不安定ですから、偽装離婚によって、不正に手当てを受給している疑いがあるということです。

本人が自ら「離婚した」と告白していることや、その夫も時々家に来ているという噂があるそうです。

当方は、弁護士でも探偵でもありませんので、偽装離婚が真実かどうかまでは調べることはできませんが、自分で調べることができる範囲や方法については教えました。

その疑いのある人物は、戸建てに住んでいるので、法務局で謄本を取るように指示しました。

それを見る限り、土地も家屋も夫の名義のままでした。

それでも、この女性は今もこの家に住んでいます。

この家の家族構成までは把握していませんが、おそらく、夫婦と中学生の子の3人暮らしのようです。

この件では、戸籍までは調べることができませんので、離婚しているのかどうかはわかりませんが、家にバイクが3台もあるのは明らかに不自然です。

当方も現地調査をしたので、わかりました。

確たる証拠はありませんが、念のため、市役所の担当部署には、偽装離婚の疑いがある女性が児童手当を不正に受給していることを伝えました。

残念ながら、担当者の意識が低く、偽装離婚の調査を行うような姿勢を感じませんでした。

これでは、不正がまかり通ってしまいます。

なお、偽装離婚を行う理由について、考察すると、

1.手当の不正受給

離婚となり、シングルマザーやシングルファーザーとなると、児童手当や、児童扶養手当がもらえます。

年間50万円前後が支給されるので、それを目当てに偽装離婚する人が出てきてもおかしくはありません。

また、生活保護は、配偶者に一定の収入がある場合は、受給できませんが、離婚により不正に受給しようと目論むケースもあります。

2.保育園の優先的入園

保育園の待機児童問題が取り上げられています。

東京や横浜などの大都市は、入園するのが激戦です。

そこで優先順位をあげるために、偽装離婚を行うのです。

ひとり親になれば、優先順位が上がり、入園しやすくなります。

3.借金返済

借金を抱えていて、返済が不能になった場合、少しでも差し押さえを回避するために、偽装離婚を行い、相手方に慰謝料として財産分与を行うのです。

それで、離婚した相手方の名義になると差し押さえができなくなるのです。

このように、自分のご都合主義に走るがゆえに、不正な行為に至るわけです。

偽装離婚は、バレにくいと思っていても、実際には、ご近所やケースワーカーからの通報により、発覚することもあります。

偽装離婚が発覚すれば、手当の支給は当然停止となります。

それだけでなく、今まで受給した金額の返還を求められます。

保育園の場合は、罰則はないものの、退所を求められます。

借金返済も詐欺破産罪に該当すれば、有罪となります。

したがって、偽装離婚を行うことは、社会的制裁を受けることになります。

相談の女性ももし、偽装離婚が発覚すれば、懲戒免職となるでしょう。

犯罪行為ですから、当然にこのように大きなリスクを抱えるわけです。

偽装離婚とは、離婚届による紙切れ1枚でできる簡単な不正行為であります。

しかしながら、それは、とても恥ずかしい行為でしかありません。

偽装離婚を行うことなく、己が道を切り開く覚悟をもって、生きていくことこそ望ましいことです。

偽装離婚を行うのは、絶対におやめください。