墓地とお墓


現在、大都市圏で墓地が不足しています。首都圏に住む人の半数以上がお墓を持っていません。お墓を建てたくても建てる場所がない、遺骨を自宅に安置したままというのが現状です。

1.墓地の種類

墓地、埋葬等に関する法律によると、墓地を新たに作るのには、都道府県知事の許可が必要です。墓地はそれを維持管理し、運営する主体によって次のように分類されます。

■寺院墓地

寺院墓地はお寺(宗教法人)が管理運営しています。寺院墓地は原則として檀家か同じ宗派でなければ使用できません。また、現在では、境内にある墓所(境内墓地)のみならず、寺を離れた郊外に墓地を造成して運営しているケースも増えています。

長所としては、寺がすぐそばにあるため、葬儀や法事に便利な点、いつでも読経・供養してもらえる点です。

■公営墓地

公営墓地とは、都道府県や市町村などの自治体が管理・運営している墓地のことです。長所としては、宗派・宗旨を問わない点、料金が安い点、管理が行き届いている点です。募集の数が少なく、かつ募集期間も短いことから高倍率になっています。そのため、大都市ではほぼ満杯でなかなか手にできないのが、欠点です。

また、申し込みに際して、「その自治体に現住所があること」、「お墓の承継者がいること」、「遺骨があること」などの資格条件もあります。

■民営墓地

寺院墓地や公営墓地の不足から登場したのが民営墓地です。公益法人が管理運営するものです。都市郊外の丘陵地帯を開発するため、非常に規模が大きいのが特徴です。

長所としては、公営墓地のような資格条件もなく、寺院墓地のような宗派・宗旨を問いません。数が多いので入手しやすいです。ただし、公営墓地に比べると料金は高額です。郊外にあるため、駅からは離れています。

※墓地の比較表

寺院墓地
公営墓地
民営墓地
費  用
高め 安め 高め
供給量
それほど多くない 首都圏では少ない 多い
場  所
都心であれば街中に多く、交通の便がよい 古いところは都心に近いが、新規開発されたものは郊外 大規模開発されたところは郊外
宗  派
檀家に限られるが、最 近は宗派不問も増えて いる 宗派不問 宗派不問
墓石の購入
門前の石材店指定が多い 石材店不問 石材店指定が多い
その他制限
宗派不問でも法要など は宗派にのっとる 原則居住、承継者と遺 骨が必要 寺院所有の場合、法要などは宗派にのっとる
2.墓地の使用権

「墓地を購入する」というのは、不動産のように所有権が発生するのではなく、墓地として、永久に使用する権利(永代使用権)を購入することを意味します。つまり、その寺や霊園の土地の一角を借りてお墓を建てるということなのです。

基本的に、使用権を他人に譲渡したり、売買することはできません。ただし、使用者が亡くなったりした場合、名義を変更することはできます。(祭祀承継)

3.墓地の選び方

墓地の購入を決めたら、最初に検討するのが、墓地の場所です。寺院の檀家になっていない場合は寺院墓地の使用は難しいです。公営墓地・民営墓地は都市部から離れた場所に立地しています。墓地の立地は自宅から無理なく行ける、交通の便のよい場所を選びましょう。

料金は、永代使用料と年間管理料を払うことにより、墓地の使用権を得ることになります。永代というとおり、使用権は半永久的に保証されます。管理料は、緑地の整備・水道・休憩所などの維持管理に充てられます。

価格は寺院・公営・民営のそれぞれの墓地によって大きな幅があります。また、墓地を購入したら、さらに墓石にも費用がかかります。墓石に係る費用は60万円から300万円程度です。購入にあたっては、永代使用料と管理料、墓石の建立費用も考慮して予算を立てます。

なお、墓地やお墓の購入については非課税扱いとなります。親族から相続した場合も相続税はかかりませんので、申告の必要もありません。

4.お墓の種類

お墓とは死体を安置する場所だけでなく、亡くなった人の霊を祀り、先祖を供養する場所として重要な意味を持っています。現在ではお墓に対する意識も多様化しています。お墓にも、いろいろなスタイルがあります。

■家墓

お墓の中で最も多いのが家墓です。「○○家之墓」と家名を彫られたお墓です。祭祀承継者が管理料を支払い、代々永続的に使用します。最近、少子化によって承継者がいなくなるケースが増えています。

■個人墓・夫婦墓

個人墓は一人だけの専用のお墓です。夫婦墓は夫婦二人だけのお墓です。どちらも、「自分の入れる墓がない」、「先祖代々の墓に入りたくない」、「子供がいないため新たに建てる墓を家のものにする必要がない」などの理由で選ばれています。

個人墓や夫婦墓は本人が埋葬されたあと、承継者がいないことがあります。そのため、承継者を指定しておくか、永代供養にしておくなどの対策も必要です。

■両家墓

一人っ子同士が結婚すると、双方の実家のお墓を一つの家で継承しなければならないときに、両家のお墓を一つにしてしまうのが両家墓です。

複数のお墓を一つにまとめる時には、改葬の手続が必要です。どちらかの墓にもう一方の遺骨を移す場合も同様です。

■合葬墓

他人同士で集まって一つのお墓に入り、あとに続く人たちがみんなで守っていこうというお墓です。東京の「もやいの碑」や京都の「志縁廟」が有名です。

具体的には、離婚者、シングル(おひとりさま)、子供のいない人、外国人などが、日常の社会的・文化的活動で、宗教や血縁を超えた縁をつくり、祀られます。

■永代供養墓

事前に永代使用料を払えば、承継者がいなくなっても寺院や霊園が永代にわたって供養・管理するシステムのお墓です。東京の「もやいの碑」や新潟の「安穏廟」が有名です。

子供がいないために、お墓を継ぐ人がいない場合に、利用されています。永代供養を依頼する際には、ある程度まとまったお布施を納めます。永代供養はどこのお墓でも行っているわけではありませんので、事前に確認が必要です。

■納骨堂

本来、お墓を建てるまでの間、一時的に遺骨を保管しておく施設です。しかし、首都圏などは、墓地不足や料金高騰のため、お墓の代わりとなっています。

その大半が、寺の堂内をロッカーで仕切って遺骨を納めるタイプ。ロッカー式やマンション式と呼ばれています。

また、最近増えているのが堂内陵墓です。納骨堂内に小さなお墓を設けたもので、天候を気にせず、参拝ができ、掃除も不要です。このほか、自宅から参拝できるネット納骨堂というサービスも誕生しています。

■壁墓地

コンクリート・自然石などで壁を作り、その壁面を納骨施設として使用します。 墓石は必要とせず、既存の墓地と違い広いスペースも不要のため、墓地スペースの確保が困難な都心部を中心に今後増えてくるかもしれません。

■手元供養

遺骨や位牌を小さな骨壷やペンダントにして入れて、身近に置いて故人を偲ぶのが、手元供養です。「お墓が遠方にある」、「経済的事情でお墓が建てられない」などの事情のある方から支持されています。

最近では、遺灰からダイヤモンドを作成したり、焼き物やオブジェなどにするケースもあります。ヒット曲「千の風になって」のような死者からのまなざしに親しみを感じる人々に支持されています。

将来的には、お墓の代用品へと変わっていく可能性もあります。

5.お墓を建てる時期

遺骨が手元にあるケースでは、いつまでにお墓を建てるか気になります。一般的には三回忌までに建てたほうがよいといわれますが、特に決まりはありません。実際には、葬儀のあと、四十九日忌・百か日忌・一周忌などの法要にあわせて建てるケースが多いようです。

しかし、近年では、新しく建てられるお墓の半数以上は、生前に建てられます。(生前建墓)生前建墓が多いのは、「自分の死後、遺された人へ迷惑をかけたくない」という想いと生きているうちにお墓を建てることで節税になるという理由からです。

また、すぐにはお墓が建てられないケースでは、最初に境界石を入れ、納骨棺を作っておけば、お墓の役割を果たします。生存中に自分のお墓を建てるケースでは、「逆修」と言われ、死後のお墓と区別するため、墓石に刻む戒名を朱色に塗っておきます。

新しいお墓が完成したら、開眼供養を行います。これは、僧侶の手によってお墓に魂を入れてもらうことです。年忌法要・お彼岸・お盆などの仏事にあわせて行うケースが多いです。

6.無縁墓

子供がいない夫婦など後継ぎがいないために、祭祀承継する者がいなくなったお墓を「無縁墓」といいます。最近、増えてきています。無縁墓が発生すると、管理者にとっては管理料の収入が途絶え、経営が圧迫されます。また、法律により、勝手に整理することもできません。

民法上、お墓の承継については、「慣習に従って祖先の祭祀を承継する人がこれを承継する」とあり、被相続人が指定することができます。必ずしも親族が承継しなければならないわけではありません。他人でも構わないのです。公営墓地の場合、承継者の範囲を「六親等内の血族・配偶者・三親等以内の姻族」とされています。

慣習では、第1順位は「血族の長子」から順に、「傍系より直系」、「尊属より卑属」、「女子より男子」が優先されています。

祭祀承継者調査代行サービスを参照ください。